農業共済新聞記事バックナンバー

2015年8月3週号

繁殖牛・肥育牛 出荷の喜びを力に

遠藤和伸さん(石巻市)

【石巻市】「ずっと畜産の道を諦められず、いつかはと思い続けてきた」と話す、石巻市の遠藤和伸さん(32)。震災の影響で就農が遅れながら、環境が整うのを待って専業農家の道に進み、今年で3年目になる。両親と妻・美和さんの4人で繁殖牛20頭、肥育牛30頭を一貫経営するほか、水稲7㌶に取り組んでいる。

遠藤さんは埼玉県の大学院を卒業後、塾講師として2年間勤めていた。小さいころから毎日牛を見て育ち、動物が大好きな遠藤さんは、畜産を本格的にやっていきたいと強く思うようになり、仕事を辞めて就農の準備を始めた。
しかし、その数日後に東日本大震災が発生。すぐに就農することはできないと判断し、精密機械の会社に勤めながら環境が整うのを待った。
2年後、30歳でようやく就農を果たすと、すぐに増頭。両親とは別の畜舎で牛を飼養する。繁殖、肥育それぞれで飼養管理の技術が異なる中で、一頭一頭の状態を日々観察し、小さな変化も見逃さないように個体管理することが最も難しく、神経を使うという。
「分娩(ぶんべん)時は大変で心配だが、元気な子牛が生まれた瞬間は、うれしさで胸がいっぱいになる。その子牛を2年半の間、手塩にかけて育て上げ、出荷する時には任務完了とホッとする」と笑顔で話す。
また、遠藤さんは人工授精師の免許を取得。飼養している牛の種付けを行い、「いずれは他の畜産農家からも依頼されるように技術を向上させていきたい」と意欲的だ。
美和さんも、朝晩の給餌や子牛の世話を一緒に担当している。生き物を相手に忙しい毎日を過ごす遠藤さん夫妻は、時には両親に管理を頼み、宿泊やショッピングなどを楽しんでいるという。
遠藤さんは「祖父が始めた牛の飼育を両親と共に守り続けたい。将来はもう少し頭数を増やし、家族で協力しながら安定経営と高品質を目指し頑張っていきたい」と抱負を話す。

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