農業共済新聞記事バックナンバー

農業共済新聞2月1週号

ちぢみホウレンソウ 寒さを味方に

農業生産法人(有)三菜寿(登米市)

【登米市】大寒を迎える1月下旬、登米市豊里町の農業生産法人(有)三菜寿(さなす)では、2㌶の転作田で栽培するちぢみホウレンソウの収穫最盛期を迎えた。中澤宏代表取締役(58)は「あくが少なく甘味があります。パリパリ感がちょっと残るくらいにサッとゆでて食べてもらうと分かりやすいかな」と冬の味覚を紹介する。

ちぢみホウレンソウは、厳しい寒さに触れさせることで、ホウレンソウに負荷を与えて糖を蓄えさせるもの。でこぼこと縮んだ葉が特徴だ。
一般のホウレンソウは季節によって30~45日で収穫できるのに対し、三菜寿のちぢみホウレンソウの生育期間は約4カ月。9月20日ころに播種し、1月下旬に収穫時期を迎える。
播種の適期は1週間しかなく、この期間にどれだけの面積に播種できるかが鍵。早く播けば普通のホウレンソウになってしまい、遅ければ寒さに耐え得る成長が望めない。同様に、寒さが緩い関東などでは、ちぢみホウレンソウの特徴である横に広がる形状になりにくく、岩手県以北では寒さが厳しすぎるため、ハウスでの栽培になるという。
「登米市は露地栽培の北限といわれています」と中澤代表。甘味を生み出す要素として①作土の浅い転作田であるため、適当な時期に肥料切れすること②空気の乾燥と土壌水分の低下③登米市の冬の寒さ――を挙げる。「野菜はたくましい。私たちは植物の生きる力を引き出しているだけですよ」と話す。
ちぢみホウレンソウの栽培を始めたのは15年ほど前。他にも鉄骨ハウス120㌃でトマトやレタスなども栽培しているが、夏場と比べて仕事量は少なくなる。従業員の通年雇用を確保するために冬季の作物を模索し、ちぢみホウレンソウに行き着いた。
寒締め「仙台寒太郎ほうれんそう」という名前で出荷する。中澤代表は「勤勉なスタッフがそろっているから経営できるんです。耳が切れそうな風の中、雪をよけての収穫作業はつらいですからね」と笑顔を見せる。
今シーズンは5000ケースの出荷を目指し、隣接する圃場で栽培するユキナの出荷が始まるまで収穫は続く。「2週間くらい日持ちする」といい、無農薬で栽培する仙台寒太郎ほうれんそうは、契約出荷する大手スーパーの他、市内の産直がんばる館、南三陸フェスティバルも販路にしている。

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