農業共済新聞記事バックナンバー

農業共済新聞4月1週号

「仙台セリ」せり鍋人気で需要増
期待に応える高品質

加藤良和さん(名取市)

【名取市】近年、セリの根の部分が再認識され、丸ごと食べる「せり鍋」が人気となっている。ブームで終わらせないために、地域をあげて「仙台セリ」に取り組む、名取市下余田の加藤良和さん(34)。祖父の代から続くセリ栽培を昨年受け継ぎ、父・良作さん(60)の指導の下、4月中旬まで続く収穫作業に励む。

良和さんは、両親と共に水田30㌃でセリを手掛ける。その他、水稲2㌶、ミョウガタケ、ナス、エダマメを栽培している。
同市のセリの歴史は、江戸時代までさかのぼる。良質な水が豊富な上、生産者たちは改良を加えながら大切にセリを守り続けてきた。下余田地区では、現在も40軒ほどの農家が盛んに栽培している。
セリは良和さんにとっても幼いころから身近な存在で、「いつか自分も手掛けたい」と志して昨年就農。同年代の農業者も周りにいて、「環境が整っていて抵抗はなかった」と話す。
栽培するセリは、寒さに弱いものの茎が太く歩留まりの良い「名取5号」と、寒さに強く味が濃いが柔らかく細い「名取6号」の2品種。苗は、前のシーズンに残して成長させておいた親株から作る。春先に苗床で育て増やし、6月くらいに代かきをして施肥管理した作付け田に散らす。
セリは生命力が強く、語源のとおり競り合って生えてくる。良和さんは「密度を高くしても低くしてもだめで、均等に散らすのがコツ」と話し、一つ一つの作業が勉強だという。
湧き出る地下水をかけ流して育て、収穫は8月末から可能となる。作付け田にほぼ毎日入り、根を傷付けないよう指先を使い掘ると、その場でいったん泥を洗い落とす。さらに専用の洗浄機を使って、地下水で水洗いし選別する。
寒さにさらすと香りや味が一層良くなり、年末にかけてが需要のピークとなる。冬の作業は寒さ対策が必須だが、地下水は一定の水温が保たれるため、外気より温かく感じるという。
サイズは、丈の長さでMサイズ100㌘とLサイズ120㌘の束に分けられる。1ケース30束入りを一日平均25~26ケース、年間2千ケース以上を市場へ出荷する。
良作さんは「一年を通して作業する息子を見てきた。これからは教えたことにそのまま取り組むのではなく、自分なりのやり方を模索してほしい」と期待する。
良和さんは「まだまだ両親のように早く・完璧には作業できないが、技術の向上に努めていきたい」と話す。

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